dyutan’s diary

色んな分野の感想、書評、本を通した自分のことをブログにしたいと思います!

ウッチャンナンチャン内村さんの小説を読んでみた!

久々に芸人さんの小説を読んだ。ピースの又吉直樹さんの『火花』以来じゃないかと思う。

 第3回目の書評である。ネタバレあり!

『ふたたび蝉の声』

                                        内村光良

                         

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主人公は売れっ子役者である相沢進

 

進を取り巻く妻、娘、親友、両親、姉夫婦、好意を抱くAP(アシスタントプロデューサー)などの登場人物たちのそれぞれ人生の場面に焦点を当てた連作短編集。ランダムに選んだように見えるがきちんと考えられた順番で章が書き進られてる。

 

最初は進や進の姉を中心にこれからこの小説に登場するであろう人物の人生のひと場面ひと場面をただ書いていってるように見える。しかしそこは最後と繋がっていて、親友の死、姉の闘病生活や父親の弟の最後など、関わってる人達の感情の盛り上がりをみせるところがこの小説の魅力であると思う。

 

個人的には進と親友になる前田竜也の話が印象に残ってる。小学の時から野球部のエースとして活躍し、地元のスターとして担がれていた竜也。高校生になり予想通りピッチャーとして野球部に入り、マウンドに立つが簡単に長打を打たれてしまう。高校では周囲のレベルが高くなっていったのだ。それがきっかけとなり竜也は向上心に目覚めることがなく部活を休みがちになる。そして高校2年生になり転校してきた加藤という同級生のピッチングに見惚れた野球部の監督は加藤につきっきりで指導にあたり、竜也は蚊帳の外になる。そこからの竜也の野球人生にピリオドを打つまでの経緯がすごく切なかった。

 

速く読み上げようとするあまり物語を没頭できなくて客観的に見れなかったという反省がある。もっと上手く書評を書きたかった。

他の人の意見で内村さんだからこそ出せる個性というのが無かったというAmazonのレビューがあった。確かにクセは無かったかな、と私も思う。

これからは速さ重視じゃなく、物語を感じ取ろうと思う。

 

 

 

『ひと』

第2回目の書評‼︎ネタバレあり!

 

『ひと』        小野寺史宜

 

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第1回目に続いてまた2019年本屋大賞ノミネート作品。厳しいこと言うようだけど本屋大賞にはならないかな、と思う。

何故かというと私の主観だけれども、心に残らなかったから。

主人公、柏木聖輔は20歳にして両親それぞれを亡くし大学を中退することに、という境遇には同情を禁じ得ないし、総菜屋で働くことになったキッカケは面白いけど、それだけだから。

 

聖輔が総菜屋で働く日々などを描いてるが、周りはいい人が多く、聖輔も好感度の高い人物。

でも聖輔の母親の親戚のいとこ、船津基志が聖輔の遺産にたかってくる。その部分は聖輔、負けるなって心底思ったし、基志の卑劣さをリアルに表現してると思う。

あと、そこまでヒロイン、井崎青葉に魅力を感じなかったのも残念。青葉の元彼と別れたキッカケも気持ちは分かるけど共感はしなかった。

 

多分作者が言いたかったことは若いのに両親を失くすなど色んなことは皆あるけど、今を生きてみて何かを諦めなくてもいいんだよ、ってことを伝えたかったんだと思う。もちろん作者が違うことを伝えたかったのに私自身が勝手に決めつけてるかもしれないが。

 

帯に人生に灯をともす、感涙の傑作!と書いてあって感動モノらしいので気になったら読んでみてもいいと思う。

 

 

 

 

初めてのブログ‼︎ そして、バトンは渡された

はじめまして!これから本の感想や書評、本を通した自分のことをブログにしていきたいと思います!

至らない部分もあると思いますがよろしくお願いします。 ネタバレあり!

『そして、バトンは渡された』

                                                 瀬尾まいこ

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とても魅力のある作品。作者を評価してなかったのだが、これは面白い。さすが2019年本屋大賞にノミネートされるだけあるな、と思う。

作品を少し説明する。

主人公、本宮優子はいたって普通の高校生なのだが、家庭環境がコロコロ変わっていて今は血の繋ってない父親、本宮さんと一緒に暮らしている。

高校2年生の進路面談から社会人として成長するまでを描いたストーリー。

第1章の優子の現在で高校生の恋愛、友情、学校行事、受験、本宮さんとの食事、血が繋がってないからこそ悩むこともある生活を生き生きと書いてある。また優子の小学生になる前の子供時代から遡るのを時々挟む。

第2章では短大に行った後、起こった出来事や本宮さんに結婚相手を紹介する。

という筋書き。

優子は友達と仲違いをするが、時間が解決すると一歩冷めてて淡々と過ごすことがすごいな、と思う。クラスの女子にも遠巻きに見られるがそれでも揺るがない。少しはダメージがあるのだが表に出さなかった。

私が高校生の時に起きたらかなり苦しむんじゃないかと思う。私が高校生だった頃、周りの評価が全てだと思ってたから。時間が解決するってあったけど、私自身が過ごす中で悩む時間を過ごさなきゃいけない未来の辛抱を考えるととても我慢できなかった。辛抱強く時間を過ごすことを受け入れるキャパがないことを自分で分かってたのかもしれない。

でも行動すると傷つくから、ずっと自分の中でうずくまってたら、状況が変わったりするんだよね。でもそれについていけなかったから時間が解決するって信じてなかった。

今も信じてるとは言い難い(すぐ行動に移すから)けど、状況が変わるのに対応できるようになった。だから私の場合、時間が解決するのをプラスすれば最強に近づくかもね。

優子の家庭環境は変化の連続でそれによって育まれた強さがある。

また優子は今までの家族全員に大事に育てられ愛されてる部分も強さに繋がってるんじゃないかと思う。

 

あと食べ物小説っていうのも結構あると思うけど、この小説は作った食べ物を美味しそうに描写し、かつ無理やりでなく自然にストーリーに沿って機能してるのが和む。

 

本宮さんのキャラクターも素晴らしい。変わってて父親らしくないけど、優子を一人前に育てようとして悩みながら、血が繋がらないながらも父親として奮闘するのがかわいい。

 

最初の部分で本宮さんがある日の朝食を考えたところがあるがラストの時にシンクロさせて見てもらいたい。